私たちに美味しい食材を提供してくださる生産者さまたちをご紹介します。(井伊商店編)

2017.02.25 訪問

愛媛は宇和島の『井伊商店』さんにお邪魔しました。。

  井伊商店さんは、創業昭和33年昔ながらの製法に
こだわった麦味噌を親子3代に渡って作っておられます。

麦味噌は、一般的な米味噌より塩分が低く、麹を使う
量が多いので、香りや甘みが強いのが特徴です。

玄三庵では、長崎の麦味噌と、愛媛の井伊商店さんの
麦味噌の2種類を合わせてお味噌汁を作りますが、
井伊商店さんの麦味噌はとても甘みと深みがあり、
ほっこり優しい味のお味噌汁に仕上るのに
かかせない存在です☆

さてさて、訪問のきっかけはというと、井伊商店さんから頂いたお便り。
そこには、麦味噌がどんな風に作られているかが分かりやすく載っていました。
これはぜひ実際の行程を見学してみたい!と思い立ち、ご相談させて頂いたところ、
有り難いことに、ご厚意で実現する運びとなりました。

そんな訳で、四国は愛媛、宇和島城のある城下町へ、
肥後橋店店長の私が玄三庵を代表して見学して参りました!


 

当日は、大阪から夜行バスで、宇和島バスターミナルに到着。

前夜に仕事を終えた足で来たため、疲れが抜けません。。。
ですが、事前に早朝のみ営業のうどん屋さんを井伊商店さんからご紹介
頂いていたので訪ねてみたところ、何とも素敵なお店でおうどんも美味しい!
栄養補給バッチリで無事復活しました。
(麦味噌以外の宇和島レポートはブログに掲載しています)

その後、徒歩で井伊商店さんへ無事到着!
写真は、向かって左から、井伊商店の二代目、私、そして今回の見学で窓口となって下さった井伊商店の三代目さんです。

予定より早く到着した私を、温かく迎えて下さり、嫌な顔もせず沢山の工程を見学させて下さいました。
素朴で優しい笑顔の井伊商店の皆さまとお会いして、優しいお味の麦味噌と重なり、見学への期待も高まります!

ではでは、ここから簡単に私が見学させて頂いた工程をご紹介します。

  ①麦を洗い、2時間程浸水させた大麦をじっくり蒸す
麦は香川県産。
幅1m以上、人がすっぽり入れるサイズの樽で、1時間半ほどじっくり蒸されます。

味見をさせて貰いましたが、この段階では当然ながら麦の味だけ(笑)。
ですが押し麦はお料理に使いますが、麦そのものを食べる機会は
これまでなかったので初体験でした!


  ②蒸した麦を冷やして、麹菌を混ぜる
藁のシートの上に、蒸した麦を広げ、35℃程度まで冷まします。

その後、種麹をまぶし、両手ですり合わせるようにまんべんなく 混ぜていきます。
麹菌は、もともと稲穂につくカビで藁との相性が良いそうです。

余談ですが、見学前に何か注意事項はあるかと確認したところ、
前日は納豆は食べないようにと言われました。
麹菌より納豆菌の方が強いのか?
菌同士に相性があるのか?奥深い世界だな~と感じました。

  ③「室(むろ)」(麹を育てる部屋)で寝かせ、麦麹へ
②の蒸し麦が、「もろぶた」と呼ばれる木の箱に移され、室へと運ばれて行きます。

井伊商店さんの室は、余分な湿気を吸収し、麹にとって安定した状態をつくりやすい木で
造られているそうで、約32℃の室温の中、まる一昼夜寝かされます。
温度の管理には、現代的な機械などは使われておらず、窓の開閉やストーブを使い、
季節や天気によって勘を頼りにされるそうです。さすが熟練の技!
ちなみに「もろぶた」の木の繊維の中には麹菌が住んでいて、もろぶたは壊れても
修理して大切に使い続けられているそうです。
さて、前日に仕込み、蒸し麦から麦麹となったものを「もろぶた」から出して、
今日作った蒸し麦をまた「もろぶた」に入れて寝かせる訳ですが、かなりの数があり大変な作業です。
家族総出で作業されており、3月で御年96歳を迎えられる井伊商店の一代目も
加わって手際よく進められていました。
一代目が前日の麦麹を確認しているお姿は、まだまだ現役で、家族三代で古製法の麦味噌を
大切に守っておられる歴史を感じました。


 


④麦麹・大豆・塩を混ぜる
蒸して潰された大豆と、麦麹、塩を均一に混ぜ合わせ、
半日ほど寝かせます。
防腐剤・人口甘味料など添加物は使用されず、材料は
本当に大豆・麦麹・塩だけです。

ちなみに麦麹ですが、見た目も味も、素人の私には、
正直なところ最初の蒸し麦との違いが分かりませんでした。

勝手な想像で菌の味(すっぱい感じ?)などがするかと思いましたが、
う~ん。。。プロには違いが分かるのかも!?
いずれにしても麦味噌職人にはなれなさそうです(笑)


  ⑤混ぜたものをミンチにし、熟成
混ざり具合を確認しながらミンチにし、丁寧に空気が入らないように
木桶に仕込んでいきます。
しっかりと押さえれば、特に重石はしなくとも、材料から出た水分の重みで
勝手に沈んでいき、夏は3ヶ月、冬は半年ほどで食べ頃になります。

発酵作用を促すため人為的な加温はせず、
この後は自然の成り行きに任せて発酵・熟成させます(天然醸造)。
熟成前のものを味見させて頂きましたが、ただの塩味で辛いだけ。
これが数ヶ月であの甘味と香り高い麦味噌に変身するとは!
改めて自然の力の不思議を感じ、同時に井伊商店さんが大切に守り、
初代から孫の三代まで受け継がれた技術のすばらしさを実感しました。

井伊商店の皆様、ありがとうございました!


   写真は立ち寄った、道の駅で売られていた麦味噌たちです。
もちろん井伊商店さんの麦味噌も売られていました(写真中央の手造り味噌)。

手間暇かけられ大切に作られている
現場を見学させて頂いた後では、特別輝いて見えました!




温度管理や麹の種付けまで、機械に頼らず経験や勘で仕上げ、自然の力を借りる天然醸造。
それを商品として出荷出来る品質を維持するのはまさに職人技なのに、
「仕込んだ後の出来上がりは菌任せで、どんな味になるかは自分たちにも予測がつかない」、
言い換えると自分たちの手柄ではないとおおらかに話されるのが、今回とても印象的でした。

四季折々、味の違う食材の相手は、料理人としては気を抜けないところですが、
その分様々な発見があり、作る楽しみが増すのも事実。
今後も、井伊商店さんが心を込めて作られている麦味噌に見合う、
美味しいお味噌汁を作らねば!と気合が入った見学でした~☆


『井伊商店』様の詳細はこちらから



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